IMPRESSION いやぁ〜、今回は参りました。 例によって、写真などの資料から寸法や形状を割り出した「目見当モデリング」なんですが、割と単純な外形なので、ナメてました。 あちこちの文献やらネットやらを探し回って資料を収集したのですが、喫水線から下の様子がわかる資料がほとんど無い!(当たり前と言えば当たり前) 中でも一番悩んだのが、尻尾の縦横舵。 ロス級の水平尾翼(横舵)って、左右両端に垂直安定板がついていて、ちょうど”H”字型になっているものという先入観があったのですが、リサーチするうちにホントかな?という疑問符が。 確かに、資料本のイラストや、映画「レッド・オクトーバーを追え」のプロップ、そしてドラゴン、レベル、アリイ(^^;)など各社の古いプラモもそのようになっているのですが、いざ実物の写真を探すとそういう写真が見当たらないのです。 なんせ潜水艦で一番「機密度が高い」部分であるスクリューの近所、ということもあり、尻尾周辺が映っている写真自体があまりない中で「ドライドックで整備中のところを前から撮影して横舵が映っている」という写真を何点か発見しました。しかし、いずれの写真もH型の垂直安定板はありませんでした。 ううむ。これは如何に?そもそもないのか、一部の艦だけなのか、それとも時期によるものか、まったく不明。 というわけで、結局「垂直安定板なし」でモデリングしました。 というか、喫水から下の部分はほとんど「想像の産物」。(どなたか詳しい方が居られましたら、ぜひご教示を) あと、どうせ作るならそれこそネームシップの「ロサンゼルス」とか、または「ダラス」のようにメジャーな艦にするなど「特定の艦」にしたかったのですが、私のリサーチ力の制約から、結局最大公約数的な「ロサンゼルス級っぽい艦」としか言えない代物になってしまいました。 (「最大公約数的」とか言っておきながら、実はVLSとセイルプレーンを装備した「フライトII」風になってます。「フライトII」ってロス級シリーズの中で建造数が一番少ないんですよね〜) |
HISTORY 米海軍が1976年から1996年までの実に20年間に渡り、都合62隻も就役させた空前の「量産」攻撃型原子力潜水艦。 単一のクラスでこれほど長期間に渡り、そしてこれほどの隻数が建造された原潜は他に例を見ない。(多分、今後もないでしょう) 「攻撃型潜水艦」とは、そもそも弾道核ミサイル搭載を搭載した「戦略型潜水艦」の対極にあたり、「戦略型」が「爆撃機」なら「攻撃型」は「戦闘機」という感じだった。 しかし最近は、「攻撃型」もトマホークなどの巡航ミサイルの運用能力を持ち、陸上目標の攻撃も可能(むろん核弾頭搭載可能)になっているから、両者の境界は結構曖昧になってきた感があるが(この辺の事情は飛行機も同じですな)まあ、「どっちを本業に造られたか?」ということなのかな。 さて、時は冷戦時代。米海軍はスキップジャック級以降、代々の後継原潜の設計にあたり「潜水艦は水中速力よりも、静粛性と潜航深度の優劣が水中戦でのアドバンテージを決定する」との方針で建造を進めてきた。 当時、米海軍に対抗するソ連製原潜の速力は、せいぜいノーチラスと同程度の20ノット前後だろうから、とナメていたのである。 そんな矢先の1969年初頭、原子力空母エンタープライズを中心とする空母戦闘群がヴェトナムに派遣される道中、ソ連の第一世代原潜「ノヴェンバー級」1隻がこれにへばりついて目障りになった。 ソ連製原潜の能力を検証する好機でもあったため、上層部は「ソ連潜を速力で圧倒せよ。」という命令を下した。 高速の空母戦闘群なら、旧式のソ連原潜など軽くぶっちぎれるはずだった。 ところが、「せいぜい20ノット程度しか出せない」はずのノヴェンバー級を、30ノット近い速度のエンタープライズ部隊は結局「ぶっちぎる」ことができず、しかも「ノヴェンバー級は、まだ余力ありそう」というオマケ付きの報告を受けて米海軍と各情報機関はぶっ飛んだ。 すでに一世代旧型になっていたノヴェンバー級が、予測を50%も上回る速度性能を軽々と発揮したということは、当時最新の「ヴィクター級」や、開発が進行中と噂の大潜航深度と高速を兼ね備えた「アルファ級」に米原潜部隊は対抗できるのか?と云うとてつもなく不安な状況になったわけである。(なんせ冷戦真っ最中ですから) 実を言うとこれにはタネ明かしがあって、ソ連原潜は原子炉の「放射線遮蔽」を非常識なまでに怠っていたのである。(乗組員はたまらん) 要するに原子炉を覆う遮蔽材の重量が少ない分、高速が発揮できたというわけだが、当時西側ではそれを知るすべはなかった。 この騒ぎをきっかけに米海軍は方針を転換、そして「高速と静粛性を兼ね備えた新時代の(当時のね)原潜」として生まれたのがこの「ロサンゼルス級」である。 もっとも、「なんでも完璧」というわけにはさすがにゆかず、「高速と静粛性」を兼備するために最大潜航深度と居住性が犠牲になったほか、セイルと潜舵も耐氷能力が失われ、氷海での行動能力は低下した。 つまり、「高性能」を得るために「頑丈さ」を犠牲にしたわけだ。なんか「零戦」みたいだな。 (ただし、「改ロサンゼルス級」と呼ばれる「後期型」ではセイルについている潜舵を船体へ移設するなどして、氷海行動能力は復活) 以来、長きにわたって米海軍水中戦力の要であった本級も、さすがに旧式化は否めず、後継のバージニア級(ホントはシーウルフ級が後継になるはずだったが、お値段が高すぎて3隻で建造打ち切り)の整備に合わせて順次退役予定だそうだが、2015年頃までは主力であり続けるらしい。(ということは、全部地デジになってもまだ主力) |